梅雨から夏にかけての時期は体調不良を訴える方は多いです。普段の不摂生やストレスなどで体調を崩したり、元々、体調が良くない方が悪化したりと日常生活で気を付けないといけないシーズンです。 当院ではこの対策の治療をおススメしております。イベント名は『気象病対策はじめませんか?』とさせていただいており、主に鍼灸治療でそのケアを致します。ちなみに ①どうして、『気象病』に注目した理由は? そして、②先ほど記したこれからの季節に起きやすい体調不良と気象病とどう関係するのか? これらを解説し、今の梅雨時期から夏本番に発生している体調不良の原因とその対策方法についてお話をしていきたいと思います。今回の内容はかなりの長文のため、原因解説編と治療編に分けさせていただきます。
まず①について、そもそも気象病の対策をしようと思ったきっかけは症状の増減とその認知度です。気象病の症状についてWebから抜粋します。『症状は頭痛、食欲不振、気分の落ち込み、めまい、メニエール病、腰痛、肩こり、神経痛、関節炎、リウマチ、蕁麻疹、吐き気など様々であり、鬱や喘息などの持病が悪化したり、「気象関連痛(天気痛)」という「天気が悪いと古傷がうずく」などの痛みなども含む。心臓発作や脳卒中のきっかけになり、生命にかかわる場合もある。』 とあります。内容はありふれた症状から持病が悪化したり、心臓発作や脳卒中のきっかけとあるととても驚きます。
さらに、第一三共ヘルスケアの全国20-60代男女600名を対象に2023年夏のセルフケアに関する調査を実施し、インターネット上でアンケートを行いました。その結果を踏まえてお伝えすると
・気象病に対して約7割の方が対策をしていない。
・梅雨時期や季節の変わり目に頭痛を感じる人
は約半数に上り、男女比は男性4割、女性6割であった。
・頭痛感じる方々の中で、気象病についての理解度についてはその内約4割が理解していないという結果で、男女別の理解度は男性5割、女性は3割でした。
(マイナビニュースから抜粋 https://news.mynavi.jp/article/20230626-2713139/)
これらのことから気象病は症状の危険性のわりにあまり理解されていない病気といえます。 私も初めて『気象病』と言う名を聞いたときに天気の変化で気分が乗らないとか古傷が痛むくらいの症状でそこまで重くない病気と思いましたが、その認識は改めることができました。気象病の歴史については古くからあるのですが、興味がある方は参考までにまとめた気象病の歴史を読んでみてください。
次に②について、気象病と梅雨時期から夏に出る体調不良がどう関係するのか?先ほどの記事でも挙げられていた頭痛はそうかもしれませんが、肩こり腰痛って関係する?そもそも気象病の症状ってそんな簡単になるものなのか?これを解説していきます。 まず、雨が降っていたり、台風が近づているなど気圧が変動する環境は身体にどう対応しているのか簡単にまとめると
ⅰ常に気圧と体内の圧は押し合って打ち消しあっている
ⅱ人間は気圧の変化を内耳という耳の奥にある器官で感じ取り、脳の中枢にある自律神経に気圧のその変化を伝える
③自律神経によって気圧と身体の押し合いを一定に保たれる
上記のことをとてもわかりやすくまとめたサイトがこちら→(https://zutool.jp/column/basic/post-16174)
脳は様々な情報を受け取って自律神経を介して体が一定の条件に保たれるように制御しますが、ストレスや負担が積み重なると、急激な変化に弱くなり、異変や痛みとして症状が現れます。さらに、これからエアコンなどの使用で室内の作業はどんどん快適となりますが、外気との気温差が大きいと仮に室内と外を頻繁に出入りすればその影響は身体への負担となります。これらの条件が合わさることで自律神経が乱れやすくなり、最初はほんの違和感であったり、寝つけにくいといった症状が積み重なることで気象病へと発展していきます。これは言わば自律神経の乱れでだんだん身体が弱っているがそれに気づけず、大きな病気へ発展すると言えます。そのため、自律神経が少し乱れている=気象病になりかけている状態のうちに治療が必要となります。そのためぜひ知識として気象病や体への負担のかかり方などを知っていただけるとうれしいです。
最後に要約すると
1⃣ 気象病は症状の危険性のわりにあまり理解されていない病気である。
2⃣ 気圧や気温の変化は自律神経を乱しやすく、それに気づきにくいことや対処が知られていないことが症状を作る原因である。
次回は治療編です。また、文末は気象病の歴史について簡単にまとめておりますので良ければ読んでいただけると嬉しいです。
紀元前400年前、古代ギリシャ時代、有名な哲学者ヒポクラテスが天候の変化が人の体力に影響を与えることについて言及する。真偽は定かではないが、昔の人も気象条件と病気が関係していることは感覚的にわかっていたのかもしれない。
本格的に研究がはじまるきっかけとして1887 年の『American Journal of the Medical Sciences』の論文で、幻肢痛を持つ人が気圧の低下によってその症状が悪化することが発表される。この症例報告から始まり、 日本では1938年の日本温泉気候学会雑誌に正木俊二らが発表した「喀血ト氣候特ニ氣壓トノ關係ニ就イテ」(現代訳は喀血と気候、特に気圧の関係について)の後に気象病という言葉が使われるようになる。現在では気象病についての科学的な治療法が確立されていないが、有識者の意見を取り入れながらその危険性を啓発することで少しでも重篤化を防げるよう各団体が取り組んでいる。
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